【本当の】イラスト作成依頼の難しさ イラストレーターとのやり取りで不和を起こさず最高の成果を得るための方法
イラスト作成を依頼する側と制作する側には大きな壁がある?
先日、私のTwitterのタイムライン上に「イラスト作成依頼の難しさ」といったタイトルの記事が流れてきました。
あー確かにイラスト作成依頼は難しいよなあと思いその記事を読んでみたところ、物凄く痛い勘違いをした依頼者(クライアント)にイラストレーターさんがただただ振り回されるだけの可哀想な記事だったのです。
しかし落ち着いて考えてみれば、自分もそこまで上手に依頼をできている訳ではない、もしかしたらイラストレーターさんに迷惑をかけている部分があるかもしれない。
そう思ったので、色んな意味で炎上覚悟でこのテーマで記事を書いてみたいと思います。
もしこの記事を読んでいるあなたがイラスト作成依頼について全くの素人さんでしたら、創作物を依頼する際の1つの指標にしてみてください。
そうではなくイラストを制作する側の方でしたら「ここはこうして欲しい」「それは間違っているよ」のようなアドバイスをいただければ嬉しいです。
この記事は自分でイラストを作成できない人間が書いています
なお、念を押して言いますが、私は自分でイラストを描くことができません。
それどころか、イラストの描き方とか制作に必要な物が何かとか、そういったものも殆ど分からない素人です。
そんなズブの素人が素人なりに考えて、良い物を納品してもらうためにはどうしたら良いか、クリエイターさんに気持ち良く仕事をしてもらうためにはどうしたら良いか、その試行錯誤をまとめたものです。
その点をご理解いただいた上でお読みください。
元の記事はこちら
冒頭で述べた記事の全文はこちらになります。
>> 【アーカイブ】イラスト作成依頼の難しさ(後編)イラストレーターとのやり取りで不和になり後味悪く終了してしまった顛末
あまりにも酷い内容で大炎上したため、現在このブログのライターさんは表立った活動を停止しているようです。炎上した記事およびその関連の記事を削除して、現在は活動を再開されているようです。
興味があればご覧になってみてください。
イラスト作成依頼をする際、最低限守りたい暗黙のルール
まずイラスト作成の進め方ですが、大抵のイラストレーターさんは以下のようなお仕事の進め方をされています。
- ラフ:
構図や構成などがはっきりと分かるレベルのイラストを描く。線画のみの場合と簡単な塗りまでやってくれる場合がある。 - 仕上げ:
細部までの描き込みと塗りを完了させ、1枚のイラストとして仕上げる。
ラフや仕上げをさらに何段階かに分ける方もいらっしゃいますが、基本的には「ラフ」と「仕上げ」の2大工程で行われる訳です。
そしてこの時、依頼をする側が最低限守りたいのが「修正依頼はなるべくラフの段階で行う」ということです。
これは料理に例えると分かりやすいかもしれません。
ラフというのは、今日これから何を作ろうかというレシピを決める段階なんです。
和食か洋食か、それとも中華か。和食なら主菜は肉か魚か、などなど。
この段階でなら依頼者の「◯◯が食べたい」という要求にも比較的簡単に応えることができます。だってまだ何も決めてないですからね。
それに対して仕上げというのは、必要な食材まで買ってきて「よしこれから作るぞ!」という段階です。
この段階で、・・・例えば制作者が「よし、カレーを作ろう!」と思ってカレーの材料まで買ってきた後に、依頼者が「今日は焼き魚が食べたいなあ」などと言ったとしましょう。
どうなるでしょうね?あなたが制作者の側だったらどう思いますか?
おそらく殆どの方が「それもっと早く言ってよ!?もう材料まで買ってきちゃったよ!?」とお思いになるのではないでしょうか。
イラスト作成も多分これと似たような感じで、ラフの段階でならある程度融通が利くけれど、仕上げまで入ったらなるべく修正依頼は受けたくないものだと思います。
ですので、修正依頼はなるべくラフの段階で行い、仕上げに入ったらイラストの仕上がりをワクワクしながら大人しく待つようにしましょう。
仕上げ後に修正を依頼して良い部分
ちなみに、仕上げ後でしか分からなかった部分でなら、そこは遠慮なく修正依頼を出して良いと私は思っています。
例えば光(ライティング)の向きや強弱などはラフの段階では描かれていなかったり、少し控えめに表現されている場合があります。
ラフの段階ではちょうど良いと思ったけれど、仕上げのイラストを見たら「ちょっと光が強すぎる(弱すぎる)」のように感じることは結構あります。
そういったラフの段階では分からなかった、仕上げをしてもらわなければ分からなかった部分であれば、そこは遠慮なく修正をお願いしましょう。私はそうしています。
イラストの作成依頼はどのようにして行うべきか?
イラスト作成を依頼する時の大前提
イラスト作成依頼の仕方についてですが、大前提としてあなたの頭の中にあるイメージを100%具現化できる可能性があるのはあなただけだということを知っておいてください。
どういうことかと言いますと、いかに優れたイラストレーターでも、あなたの考えていることを100%完璧にトレースできる訳ではないということです。
当たり前ですよね?
当たり前のことなのですが、こういった依頼をしたことがない人は「お金を払っているんだから100%自分が欲しいものが出てくるのが当然だろう」といった思考に陥りがちです。
そうではなく、相手は全くの他人なのだからまずは自分の理想の50%まで辿り着ければ御の字。そこから打ち合わせをしながら詰めて行って、最終的には80%ぐらいのものが出来れば万々歳。
そう考えていた方が色々と楽チンです。
これは相手の実力や自分の欲求に対して安易に妥協をしろと言っているのではありません。
そうではなく、依頼をする側は残り20%の部分で相手(イラストレーター)の世界を受け入れるべきだと言いたいのです。
十人十色と言うように、どんなイラストレーターにもその方独自の色(作風)があります。
そして大抵の場合、その方の色は依頼者の色とは違ったものであると思います。
違った色の方にお願いをするのですから、20%ぐらいは「なるほど、これはこれでアリかもな」という気持ちで受け入れる準備をしておきましょう。
それができるようになると今度は、「この人の作風でお願いしたいなあ」という考え方ができるようになります。
それは多分お互いに嬉しいことですし、幸せなことだと私は思います。
依頼を言語化できなくなったらそこがゴール地点
上で述べたように、50%を80%に近づけるための方法はとにかく打ち合わせをするしかありません。
ただこの時、私は自分の中であるルールを設けています。
それは「素人の自分でも分かるレベルの依頼が出せなくなったらそこでおしまいにする」ということです。
例えば、イラストレーターの方に山を1つ描いてもらったとしましょう。出来上がって来たものがこちらです。
※山です、誰が何と言おうと山です。
これを見て私は「ちょっと尖り過ぎだよな」と思いました。私はもっと「なだらかな感じの山」が欲しかったのです。
そんな私が次にするべき依頼は以下2つの内どちらでしょうか?
- もっとなだらかにして欲しいと伝える。
- サンプルになる絵や写真を用意して、このぐらいのものが欲しいと伝える。
正解は2番の「サンプルを用意する」です。
というのも、「もっとなだらかに」という依頼は一見するとシンプルで分かりやすいのですが、どのレベルまでなだらかにして良いのかが全く分かりません。
もっと言えば、あなたの中のなだらかのイメージとイラストレーターの中のなだらかのイメージが違うかもしれません。
その場合、いくら打ち合わせをしてもあなたの求める物は一向に得られないでしょう。お互いに無駄な時間を過ごしストレスが溜まるばかりです。
逆にサンプル画像のように「誰の目から見ても明らかな物差し」を用意すれば、イラストレーターの側も「なるほど、このぐらいか」と一発で理解できますし、結果として求めていた物が仕上がってくることでしょう。
このように、イラスト作成を依頼する側は自分の中にあるイメージをどんな手を使ってでも相手に伝える努力をしなければならないと私は考えています。
色を指定するなら色コードを、構図を指定するなら似たような構図の絵やイラストを、時には完全に落書きのレベルですが確実に伝わるようにペイントソフトを使って自分の思ったことを相手に伝えます。
※実際の案件でイラストレーターの方にお送りしたコメント入りの落書きです。(一部モザイクをかけてあります。)
逆に、自分の思ったことが言語化できず、感覚のようなふわふわしたものしか相手に伝えられなくなったとしたら、そこがゴール地点です。
それ以上を求めるならば、お互いに多大な時間と労力、そして運が必要になってきます。
それを求めるのは現実的ではありませんし、求めたところであまり良い結果にはならないでしょう。
歩み寄るべきではない点もある
さて、ここまではどちらかと言えば依頼する側がイラストレーター側に配慮すべきだという論調で進めてきましたが、当然お金が絡む以上歩み寄るべきでない点もあります。
1つは完成時のクオリティー、もう1つは納期(スケジュール)です。
どちらも私の実体験を元にお話をさせていただきます。
イラスト作成依頼の難しさその1 提示されたサンプルと比べて明らかにクオリティーが低かった
ある新作スマホゲームに使用する背景イラストを募集していた時の話です。
お仕事依頼サイトを使い十数名ばかりのイラストレーターが私の案件に応募してくれて、その中でも最も自分のイメージに近いサンプルを提示してくれた方を採用しました。
その後細かい打ち合わせをして、ラフ~仕上げと順調に作業は進んで行ったのですが、その方が「仕上げだ」と言ったイラストには明らかな不備がいくつもあったのです。
その時のイラストをお見せする訳にもいかないので説明が難しいのですが、不備の内容は以下の様なものでした。
- 壁の表面にテクスチャを使用していたが、そのテクスチャのつぎはぎの跡が目に見えて分かる。
- 建物の立体感(カーブではなく直角の箇所)を無視してテクスチャが貼られていて、さらには何もないはずの中空にまで薄っすらとテクスチャの模様が付いている。
それはパッと見ただけで、募集時に提示されたサンプルと比べ数段クオリティーが落ちると分かるもので、到底受け入れられるものではありませんでした。
念の為、なぜこのようなことが起きてしまったのか、金額か、納期か、それとも仕事の進め方に問題があったのかを確認したところ、イラストレーターの方からは「(サンプルと今回の案件とでは)金額に差がございますので」という回答が返って来たのですね。
納期や仕事の進め方に問題があるのなら出来る限り改善しますし、金額についても先に言ってくれれば2倍ぐらいにまでなら増やすこともできました。
が、それをせずに一方的に低いクオリティーのものを提出されてしまったのです。
さすがに成果物として受け取る訳にもいかず、またそういった仕事の進め方をされる方には不信感しかなかったため、それを率直に告げてこの仕事をご辞退いただくようお願いし、案件はキャンセルとなりました。
イラスト作成依頼の難しさその2 作業進捗をごまかされていた
こちらはキャラクターイラスト(全16枚)を募集していた時の話です。
上と同じようにイラストレーターを募り、良さそうな方にお願いすることに決めました。
以下時系列メモです。
- 1月17日:
相手側から見積もりを提示。3月7日までに16点全て完了を予定とのこと。
→問題無かったため、こちらはそれを承諾。 - 2月1日:
作業開始の連絡が無かったため、こちらから相手に連絡し状況を確認。
→これに対して「他案件の影響で遅れている、1週間程スケジュールをずらして欲しい」と返答があり、それを承諾。 - 2月21日:
初回ラフ提出(1キャラ分)。 - 3月12日:
前回(2月21日)の連絡から音沙汰が無かったため、こちらから連絡をし状況を確認。
→これに対して「締め切りを守れるように努力する」と返答。加えて前回提出したラフを修正したものが再提出される。
→こちらからはスケジュールが相当に遅れている件、またラフ修正もこちらの意図を全く汲めていない件を指摘し、作業ペースのアップと連絡をこまめにしてもらうよう要求。相手はこれは承諾。 - 3月19日:
進捗報告が無かったため、こちらから連絡をし状況を確認。
→これに対して「別件の対応をしていた、今日から作業を再開するつもりだ」と返答。
とまあ、こちらの依頼から1ヶ月以上も経つのに進捗がキャラクターラフ1人分だけという散々な結果でした。
そのままのペースで進めば16キャラ全て終わるのに単純計算で1年以上かかってしまいますし、いかなる理由であれ積極的に進捗をごまかしてくる相手とは安心して仕事はできないと判断したため、この方はここでキャンセルさせていただきました。
このように明らかに相手に不義不仁があると感じた場合は、まずはその理由を明確にし、内容次第では依頼者として明確な立場を取り厳しい判断をするようにしましょう。
なのでまあおそらく、私の対応だけが問題だったということはないでしょう。多分。
楽しいことをしているのだから、お互いに楽しめるように配慮しよう!
細かいことを色々と述べましたが、創作って作る側も求める側も楽しい気持ちになるものだと思います。
もちろん途中経過には「思ったものが出来ない」とか「そもそも作業するのが面倒臭い」とか、そういったネガティブな面もあるのですが、終わった時には「よっしゃ終わった!良いのが出来た!」とお互いに思いたいものです。
ですのでイラストに限らず、制作を依頼する側もされる側も仕事が終わった時にはお互いに楽しかったと思えるような配慮や工夫をしたいものですね。
[追記]
胡鵬飛(こほうひ)さんが中国のWEIBOに本記事の中文訳を投稿してくれました!胡鵬飛さん、ありがとうございます!ヽ(゚∀゚)ノ パッ☆
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